2025年初頭の米ドル安を含む最近の市場環境により、世界の金融市場における不確実性が高まっています。2025年1月以降、2026年4月下旬時点で、米ドルは英ポンドに対して約7%下落しました。関税、米国・イスラエル・イランを巡る継続的な紛争、さらにガス・原油価格の上昇が重なったことによる影響です。その結果、外国為替(FX)のボラティリティは上昇し、責任準備金、プライシング、資本、財務報告、事業計画など、保険会社の複数の主要業務機能に追加的なリスクをもたらしています。一方で、損益計算書全体およびソルベンシー・ポジションへの影響は、これまでのところ限定的です。
本稿は、ミリマンのホワイトペーパー「経済の不確実性を管理:(再)保険会社のための外国為替ボラティリティへの対応方法」を踏まえて、英国および欧州の保険グループを対象とした調査から得られた概括的知見をまとめたものです。主な関係者として、チーフ・アクチュアリーおよびチーフ・リスク・オフィサーが含まれています。本調査では、トップダウンの観点から、一般的に採用されている実務、共通する課題、実行可能な提言を示しており、バランスの取れたFXリスク管理が事業のレジリエンス向上と将来の戦略的目標の実現をどのように支えるかに焦点を当てています
本稿には、以下の主要な観察事項が含まれます。
- バランスシートおよび規制上の資本要件:確立されたALM(資産・負債管理)手法や、フォワード取引・スワップといったヘッジ実務を踏まえると、資本要件に対するFXの影響は、これまでも重要性のある水準ではなく、今後も重要性を持つとは見込まれていません。
- 責任準備金:回答者の大部分は、FXボラティリティによる責任準備金のアプローチへの重要な影響はないと回答しました。
- その他の主要業務機能:回答者の半数以上が、FXボラティリティによる事業計画、プライシング、または引受戦略への重要な変更は生じていないと回答しています。
- リスク管理フレームワークと取締役会向け報告:FXリスクのガバナンスは組織によって異なりますが、定期的なモニタリングと取締役会レベルでの可視化は比較的共通しています。
- 追加的考察:今後12~24カ月の間に米ドルが大幅に下落した場合の影響について考察します。
- 今後の対応:自発的リスク管理を支え、潜在的に極端なFXボラティリティに備えるため、各組織が講じるべき対応を示します。